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2010年5月 6日 (木)

エンジンオイル選びを考える(3)銘柄比較

 これまでエンジンオイルの(1)粘度(2)ベースオイルについて考えてきた。いよいよ銘柄・製品選びだ。
 ここでは勝手ながら僕のルポGTIに入れるためのオイルについて、各製品を比較することにする。具体的には、「VW 503」認証を取得しているかまたはそれに準ずる品質のオイルで、SAE粘度が0W-30ないし0W-40のものだ。(注:現在「VW 503」規格は失効しており、その条件を満たしていても表記していないオイルが存在する。)
 
 
~データを比較~
 
 調べてみるとメジャーなものから、マニアックなものまでいろいろある。それを一覧にしたのがこちらの表だ。(クリックすると大きいサイズが見れます。)

Table3

 データは各銘柄のホームページで調べたもので、空欄になっているところは非公開または不明。特性を比較する上で重要と思われる動粘度粘度指数の欄は色付けして比較しやすいようにした。また、比較のために「参考価格」の欄を設けたが、これはネット上や実店舗などで調べた代表的な販売価格である。したがってメーカーの希望小売価格ではないし、最安値というわけでもないことを断っておく。
 
 そして、この表にある40℃と100℃のときの「動粘度」の値を比較した図がこちら。数値がわかっているもののみを表示した。
 40℃と100℃とでは縦軸のスケールが異なることに注意されたい。

Kvis
 図の中で上方に位置しているMobil 1 RPELF EXCELLIUM F-0はSAE粘度0W-40の製品で、それ以外は0W-30である。
 同じSAE粘度であってもさまざま。ここにあるオイルの中では、ELF EVOLUTION SXRGulf ARROW GT30が他と比べて低粘度であることがわかるだろう。
 
 
~各銘柄について個別に見てみる~
 
○Mobil
 おなじみMobil 1は「NA」(0W-30)と「RP」(0W-40)の2つ。どちらも「化学合成油」という表記だが、ベースオイルがいわゆる100%化学合成(グループIVのオイル使用)なのはRPだけのようだ。NAは「Catalytically processed」(「触媒作用処理された」の意)という表記があり、これはグループIIIのオイルを使用していることを示唆している。(Mobilはそのことをはっきりとは謳っていないが。)
 また、NAはVW認証を取得していないし、API、ACEA規格も異なる。
Mobil Mobil 1 NA
Mobil Mobil 1 RP

○ELF
 ELFは0W-30が3種類、0W-40が2種類あることがわかったのだが、何が違うのか判然としない。粘度データも製品によって公表しているものとしていないものがあり、疑問だらけだ。VW認証を取得しているのは0W-30のFULL-TECHだけのようだが、取扱店がほとんど見当たらない。
ELF EXCELLIUM PRO
ELF EVOLUTION SXR [PDF]
ELF EXCELLIUM FULL-TECH
ELF EXCELLIUM F-0 [PDF]
ELF EXCELLIUM ZERO

○TOTAL/FUCHS
 今回調べた0W-30のオイルの中では、この2銘柄の製品は似通った動粘度を持っている。0W-40のオイルにせまる高い動粘度となっているのが図からもわかる。両者ともVW認証を取得しているが、値段が高い。
TOTAL QUARTZ ENERGY 9000 [PDF]
FUCHS TITAN SUPERSYN

○Gulf
 ARROW GT30は他と比較してかなり大きな粘度指数になっている。また動粘度も低いレベルにあって、数値を見るかぎりにおいては理想的に思える。しかしベースオイルに関する明確な表記が見られないのが気にかかる。商品説明文には「PAOを使用」「エステル系ベース」という表記が含まれてはいるものの、価格が安いことを考えると全合成油なのか疑問も残る。またAPI、ACEA、VWの各種規格・認証の表記がないことも難点。認証にかかるコストを削減して低価格を実現していると考えることもできるが、この情報だけではなんとも判断できない。
Gulf ARROW GT30

○ZOIL
 動粘度はMobil 1 NAと同レベル。粘度指数はNAより大きいことがわかる(NAの値は不明だが40℃と100℃の動粘度の関係からそう判断できる)。API規格はSMであるものの、ACEA規格やVW認証の表記がないのが難点。
ZOIL SYNTHETIC ZOIL

○MOTUL
 日本でもレースシーンでおなじみのブランド。動粘度などは不明。API規格はSMではなくSL。ACEA、VWの各規格・認証は取得している。ただしMobilなどと比べると値段が高い。
MOTUL 8100 X-LITE

○LIQUI-MORI
 ドイツのオイルブランド。0W-30、0W-40ともに動粘度などは不明。API規格の表記はない。2種類の0W-30は、-PLUSの方がより低粘度になっているようだ。ただし-PLUSの値段はかなり高い。VW認証を取得している点は安心できる。ドイツ車にはこの銘柄を入れたいところだが、値段がネックか。
LIQUI-MORI SYNTHOIL LONGTIME PLUS
LIQUI-MORI SYNTHOIL LONGTIME
LIQUI-MORI SYNTHOIL ENERGY

○Castrol
 Mobilと並んでおなじみのCastrol。動粘度などは不明。API、ACEA、VWの各規格・認証から値段に至るまでMobil 1 RPと同等。
Castrol EDGE

○BP
 全合成油であることと、API規格のSMを取得していること以外は不明。
BP vervis SPORT
 
 
 実はこうして比較しようとすると、不明な部分が多くてちゃんと比較できないという事態に陥ることがわかる。ここまで調べてオイル選びをする人なんてそうそういないだろうから、各メーカー・販売会社も多くを公表しないのだろう。しかし銘柄によって値段がかなり違うのに、具体的に何が違うのかはっきりしないのは問題だと思うな。結局のところ断片的な資料や銘柄に対するイメージで選択するしかないのだから。
 なんだかスッキリしないな。けれどもここらで結論を出しておかねばなるまい。ここでは3つの観点から、それぞれに適したオイル選びをすることでひとまず結論としたい。
 
 
~オイル選びの結論~

●低粘度で選ぶなら
 ・Gulf ARROW GT30
 ・ELF EVOLUTION SXR
 動粘度の比較図を見ればこの2製品が突出して低粘度であることがわかる。特にGulfは40℃での動粘度が低い。ただしどちらもVW認証を取得していない。

●安心感で選ぶなら
 ・Mobil Mobil 1 RP
 VW502・505認証を受けていて、APIのSMクラスを取得。動粘度データもわかっている。そしてコストパフォーマンスが高い。大量生産・大量販売ゆえに可能な価格設定なのだろうか。
 
●ちょっと違ったオイルを使ってみたいなら
 ・LIQUI-MORI SYNTHOIL LONGTIME PLUS
 省燃費油の規格であるACEA A5を取得しているだけあって、「超・エネルギー節約型エンジンオイル」を謳う。動粘度データは未公表であるが、おそらく低粘度であろう。VW503/506認証も取得しているので安心。しかし高い!
 
 
 一応、これが結論なのだが、歯切れが悪いな、う~ん。オイル選びのさらなる迷宮に迷い込んでしまったかも…(汗)。
 
 
―――
 
  
[参考]

エンジンオイルの粘度と粘度指数
http://www.geocities.jp/bequemereise/viscosity.html

BP オイルディクショナリー エンジンオイル規格(API)
http://www.bp-oil.co.jp/oil/dic02.html

BP オイルディクショナリー API SM試験要領<SLとSMの性能比較>
http://www.bp-oil.co.jp/oil/dic03sm.html
 
BP オイルディクショナリー エンジンオイル規格(ACEA)
http://www.bp-oil.co.jp/oil/dic04.html
 
  
―――
 
 
エンジンオイル選びを考える(1)粘度
エンジンオイル選びを考える(2)化学合成油

で、結局、ルポ君の新しいオイルに何を選んだかはこちら。

最終結論:今回のエンジンオイルはコレ!

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