ルポ君を車検に出したら、代車でシロッコがやってきた!わお。ポロの現行モデルだったらラッキーくらいに思っていたのでこれはうれしい。ディーラーさんありがとう!
というわけで、早速インプレッションするとしよう。

VW シロッコ TSI その第一印象
今回貸していただいたのはシロッコ TSI。シロッコの中では一番下のグレード。1.4L TSIツインチャージャーエンジンに7速DSGの組み合わせだ。
僕自身はツインチャージャーもDSGも初めて(デュアルクラッチ式ミッション自体初めて)なので興味津々だ。
スタイリングは低めの車高と張り出したリアフェンダーがスポーティな印象で、なかなかかっこいい。
乗り込んでみる。まず感じたのが視界の狭さ。ルポと比べるとフロントウィンドウの上下幅がかなり狭い。ちょっと窮屈さを感じたけれど、これはしばらくして慣れたので問題ないだろう。
継ぎ目のない加速はすばらしいの一言
さて発進だ。ギアをDレンジに入れる。
アクセルを踏み込んでいったときの継ぎ目のない加速はすばらしいの一言だ。実にスムーズ。まるで電気自動車のよう。街中の低速度域で加減速を繰り返すようなシーンでもギクシャク感はない。初期のDSGはギクシャクしていたという話を聞くが、それはもう過去の話なのだろう。
シフトはマニュアル操作も可能。シフトダウンさせてみても、ショックなくスムーズにやってのけるのはさすがだ。
ただ気になったのは発進の際のタイムラグ。アクセルを踏んでから実際に発進・加速するまでにワンテンポ遅れる。特に早く発進したいときや坂道発進のときなど、少し深めにアクセルを踏んだ際に顕著。スムーズさを優先させたセッティングなのかもしれないが、もう少しレスポンスをよくしてほしいところだ。
それと残念なのは、このグレードにはパドルシフトが装備されないことだ。マニュアル操作はシフトレバーを前後に動かすことで行うことができるとはいえ、やはりパドルがあったほうがいい。パドルが装備されるのは上級グレードのみとなっている。
じゅうぶんトルクフルなエンジン
エンジンの力はじゅうぶんだ。街中でも登坂路でも力不足を感じなかった。巡航状態からひとたびアクセルを踏み込めばDSGが一気に2段下のギアへと変速して、ぐいぐい車体を引っ張っていく。最大トルクはカタログによれば1,500~4,500rpmという広いバンドで240Nmを発生するそうだが、感覚的には3,000rpm少し手前からの加速が気持ちよかった。一つ上の2.0TSIというグレードになるとより強力な2Lターボを搭載するのだが、1名乗車だったらこの1.4Lツインチャージャーでじゅうぶんだと思う。
走行中のエンジン回転は1,500rpm付近を保とうとする。スピードが上がるとすぐに上のギアに移る。(いま何速に入っているかはメーター内の表示でわかる。)そこで少々気になるのは音である。ボワ~~~というような低周波のエンジン音がしてあまり気持ちがいいものではなかった。気にしなければ問題ないレベルなのだけれど。
自然で安定感の高い走り
乗り心地は固めだが悪くはない。路面からの突き上げはカドがとれているし、ダンパーもしっかり働いている。ハンドリングは自然。電動パワステだけど変な感じは全くない。
ここでルポと比較しても意味ないかもしれないけど、あえて比較するなら「重厚」。ホイールベースが長いのでピッチングが少なく安定感がある。逆に言うと軽快感は少ない。今回は道幅の狭い峠道を少し走ってみたが、安心してコーナリングできるものの運転が楽しいかというとそれほどでもない。1,810mmの全幅はもてあまし気味だ。もっとも箱根あたりのワインディングへ行けばまた違った好印象を受けたかもしれない。このクルマは狭くきついカーブよりも、高速で緩めのカーブが連続するような道を走った方が向いていそうだ。
結論:いいクルマだけど欲しくなるような感動はない
普段ルポ GTIに乗ってる僕の結論としては、シロッコ TSIは「非常に良くできたクルマ。だけど、おもしろさはイマイチ。」というものになった。育ちがよくてかっこいい優等生なんだけど、なんか物足りないなうーん…っていう感じ。見た目からくる印象ほどスポーティでもなく、どちらかというとロングドライブを楽しむようなクルマなのだろう。今回は試してないけど、高速道路を走ったらきっと気持ちいいのではないかと思う。
シロッコ TSIは決して出来の悪い車じゃない。むしろいいクルマだ。だけど、欲しいかって聞かれるとそれほどの感動はない。
もしこのクルマに強い刺激やスポーティさを求めるなら、最上級グレードのシロッコ Rを選ぶことをおすすめしよう。
やっぱりルポが好き
蛇足ながら…今回の結果は奇しくもルポ君の楽しさを再確認することになった。シロッコのDSGはたしかにすばらしい。けど、エンジンと対話しながらマニュアルをコキコキやる方がやっぱり楽しいし、僕は好きだ。そしてルポはその小ささ、軽さから得られる人車一体感がいい。街中でシロッコを走らせても正直おもしろくはなかった。けど、ルポなら街中だろうと高速だろうとどんな道でも楽しい。
車検を終えてのディーラーからの帰り道。クラッチ踏み踏みシフトをコキコキやりながら、やっぱり僕はルポ君がいい、そう思うのだった。
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フォルクスワーゲン シロッコ Volkswagen Scirocco
■グレード:TSI
■ボディカラー:サルサレッド(受注生産)
■車両本体価格:¥3,480,000



ボンネットを開けた状態。ダンパーではなく、オーソドックスなつっかえ棒で支える。最近のVWって、みんなこうなの?(ちなみにルポはダンパーで支える。)ボンネットフード裏には一部(ターボチャージャーのある場所?)に遮熱材が貼られている。
オイルキャップには「Castrol」の刻印があった。オイルメーカーのロゴが入っているのは珍しいのでは?
フロントシート。サイドサポートがしっかりしている。生地は一部にアルカンターラを使用しているが、その面積は少ない。
リアシートは2人がけ。セパレートタイプになっていて、サイドサポートもそれなりにある。頭上空間は少ない。
リモコンキー。上にある銀色のボタンを押すとキーがシャキンッと飛び出す。ドアの開錠とリアゲートの開錠は別のボタンで行う。
タイヤサイズは235/45R17。
銘柄はピレリ チントゥラート(CINTURATO)P7。
チントゥラートシリーズはピレリの中でエコタイヤに分類されている。このことからもこのクルマのコンセプトが窺い知れる。
そしてこのタイヤは「モビリティタイヤ」と呼ばれる、釘などが刺さってもパンクしない構造のものになっている。
荷室。リアシートの背もたれを前に倒した状態。1,800mmを超す車幅のわりには、荷室の幅は狭い。
荷室の床面をめくると、そこにはジャッキなどの工具が納まっていた。スペアタイヤは積んでいない。
リアゲートの取っ手は左右に一つずつ。こういうところがVWらしい。
以上、VW シロッコ TSIのインプレッションでした。
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