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2017年12月

2017年12月15日 (金)

充分。だけどそれでは足りないホンダN-ONE

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 S660を整備に出したら、代車としてN-ONEがやってきた。2016年式のターボエンジンモデル。これはちょっと楽しそうだ。そう思って、街中を抜けて郊外、そして山坂道を走ってみたのだが……。

●加速は力強いが、ブレーキは要改善
 走り出してまず感じるのは、加速の力強さ。信号待ちからの発進では、グゥーーンと流れに乗ることができる。エンジンはS660とほぼ共通だから、中低速のトルクがあって、2名乗車程度なら街中をストレスなく走れる。高速道路は走っていないのでわからないけど、坂道の登りも元気よく走る。
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 エンジンルームで目につくのは、インタークーラーに外気を導入するダクト。ガバッと大きな口を開けている。

 一方、ブレーキのフィーリングはあまり褒められない。踏み始めの効きが弱く、「あれっ効かない!?」と思ってしまう。奥まで踏み込めばしっかり効くので、安全上は問題なさそうだが、コントロール性がよくないのだ。山坂道の下りなど、コーナーの手前でブレーキングが必要な場面では、ある程度ブレーキペダルを踏み込こんでいったところで踏力を調整する必要があり、思いどおりの減速をすることに神経をつかう。このへんが改善されるともっと乗りやすくなると思う。
 乗り心地は、ソフトではあるものの、粗さがやや気になる。路面の小さな段差を超えた時に、ゴトッというかブルッというか、細かい振動が最後に残る。また、路面のザラザラした感じがシートやハンドルに伝わってくるのもやや不快だ。ボディ剛性が足りていないのか、サスペンションのブッシュが振動を吸収しきれていないのか。細かい振動の抑え込みについては、S660の方が上質な感じがする。
 コーナリング性能は、決して悪くはない。ロールは大きいものの、唐突さがなくマイルドなので、山坂道を走っても怖くない。キビキビ走るわけではないので運転の楽しさは少ないが、ゆったりとドライブするぶんにはいい脚だと思う。となるとやはり、振動の抑え込みの方をもう少しがんばってほしくなる。

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 ハンドルにはパドルが付いていて、マニュアル変速が可能。僕がこういうのに慣れていないせいか、あまり積極的に使おうとは思わなかった。エンジンブレーキを効かせるのはラクだけどね。


●ホンダ車トップクラスの愛されデザイン

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 スーパーハイト系ワゴンのN-BOXなどと比べると全高が高すぎず、安定感がある。近くで見ると、結構大きい。ボディパネルのプレスラインはすっきりしていて、シンプルなフォルム。奇をてらったところがないので、万人に好まれそうだ。
 現行ホンダ車の中では、トップクラスの優れたデザインじゃないかな。近々(12月21日)、マイナーチェンジが予告されているが、デザインはほとんど変わらないようだ。これは変える必要ないよね。

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 まるいヘッドライトがキュート。

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 ふくよかな曲面と、すっきりしたプレスラインには親しみが持てる。

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 ロゴマークも含めて、センスがいい感じ。

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 リアに向かって下がるルーフだが、そのエンドはわずかに跳ね上がっている。

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 フロントピラーは艶消しブラック。このように塗り分けられている。

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 ワイパーはオーソドックスなトーナメントタイプだ。


●ロードバイクもラクラク積める!
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 インテリアの使い勝手は上々。機能も充実。クルーズコントロールも装備している。ただ、シートポジションはいいとは言えない。ハンドルが遠いので、背もたれを立てないとちゃんと手が届かない。もう少しゆったり座りたいところだ。

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 インパネには中央にスピード、左にタコメーターが配置されている。タコメーターはないよりはマシだが、あまり視界に入ってこない。エンジン回転を見ながらシフト操作を楽しむ……という気分にはなれなかったな、僕は。

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 後席の座面は跳ね上げることで、高さのある荷物も積むことができる。

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 反対に、背もたれを前に倒すと、フラットで広い積載スペースに変わる。ロードバイク(自転車)を積んでみた。前後輪を外し、輪行バッグに入れた状態でこの余裕!

 近頃はN-BOXのような背高ワゴンの方が人気だが、そこまでの高さが果たして必要なのだろうか。自転車をそのまま積みたいという需要はあるらしいが、高さが必要ない人にとっては、このN-ONEで充分だと思う。僕に言わせればN-ONEでも背が高すぎるくらい。もう少し低ければ重心が下がるし、空気抵抗だって減るのにな。

●総評:感性に訴える魅力がほしい
 380kmほど走って、燃費は19.7km/L(満タン法で計測)。2名乗車でエアコンはほぼ使用していないが、途中、酷い渋滞にはまってしまった。それがなければ20km/Lは楽に超えていたはず。
 さて、総合評価だ。走りも充分、使い勝手も充分。これ以上の速さは(少なくとも一般道では)必要ないし、広さも必要ない。N-ONEに接していると「充分」という言葉が一番多く頭に浮かぶ。
 でも、それでいいのだろうか、ということも考えてしまう。運転が楽しいかというと特にそうは思えないし、気持ちよさや上質感といったものがあるわけでもない。軽自動車なんだからしょうがないじゃないか、と言ってしまえばそれまでなのだが。
 ただ、N-ONEを運転しているとこんなことを想像するのだ。「クルマなんてこんなもの」と思って一生を終える人が、この日本には相当いるのではないかと。「若者のクルマ離れ」というもはや使い古された言葉もあるが、そのクルマ離れの原因は、運転の楽しさを知らない、いや、運転して楽しいクルマを知らない人が多いから、ではないだろうか。
 僕は言いたい。もっとクルマは楽しくて気持ちのいい乗り物なんだと。
 N-ONEにそれを求めるのは厳しいことかもしれない。それでも求めてしまうのは、乗る前の僕にそういう期待があったから。スズキアルトほどではないにしても、運転して気持ちが高揚するようなことを僕は期待していた。このN-ONEには、そういう感性に訴えるところが足りないのだ。これだけデザインがいいのだから、走りもいいものを期待するのは酷というものだろうか。
 今度のマイナーチェンジでは、PremiumRSというグレードも加わるみたい。見た目だけのモデルチェンジにはならないとは思うが、果たしてどうだろう。

先行情報サイト|N-ONE|Honda
http://www.honda.co.jp/N-ONE/new/

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2017年12月 9日 (土)

ありがたや~。ボルグワーナー・トロフィーを見てきたよ!

Gopr10912s 国外不出のアメリカの秘宝を拝んできた。インディアナポリスからはるばる日本にやってきたこの「ボルグワーナー・トロフィー」は、インディ500に勝利した者だけが手にすることのできる非常に貴重なもの。その本物を日本で見ることができるとは! このトロフィーがアメリカ以外で展示されるのは今回の日本が初めてだ。ムハー!(鼻息)
 展示されたのは、昨日(12月8日)と今日(9日)の2日間、東京のホンダ本社・ウエルカムプラザ青山にて。願わくは、12月3日(日)にツインリンクもてぎで行われたHonda Racing THANKS DAYで佐藤琢磨の凱旋ランも含めて見たかった。でも、僕は現地に行くことができなかったので、こうして東京で見ることができて感激だ。

Img_9397s2 トロフィーの表面に並ぶのは、過去にインディ500で優勝したレジェンドたちのレリーフ。ルイス・メイヤーは初めて牛乳飲んだ人だね。この人がきっかけで、インディ500では優勝すると牛乳を飲む(飲まされる?)ことになったわけだ。その下は顔がふたつ。途中で交代して走って優勝したらしい。

Img_9411cs A.J.フォイト、アル・アンサー、リック・メアーズの3人は、インディ500を4度優勝したドライバー。彼ら以外に4勝したドライバーは他にはいない。他にも、僕がこれまでリアルタイムで見てきたジル・ド・フェラン、エリオ・カストロネベス、ダリオ・フランキッティ、ダン・ウェルドンなど、スーパースターたちの顔が勢ぞろい。

Img_9402as そして、台座の正面にはキター! 佐藤琢磨!!!
 ありがたや~ありがたや~。ナンマンダブ、ナンマンダブ。

Img_9416bs_2 トロフィーの最上には、チェッカーフラッグを振るおじさんが。パンツも何も穿いてない!

Img_9407as いいケツしてるぜ。プリッ。

Img_9391b2s_2ホンダのおねえさん(クリスマスバージョン)とボルグワーナー・トロフィー。おねえさんたちが小さいのではなく、トロフィーが大きいのだ。

 ボルグワーナー・トロフィーが日本で次に見れるのはいつになるかわからない。もう二度と見ることができないかもしれないのだ。また日本人がインディ500で勝ってくれることを願う!

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2017年12月 3日 (日)

“まっすぐ走らないクルマ”――トヨタ パッソ(初代)

 トヨタ初代パッソのレンタカーを運転した。ダイハツブーンと姉妹車だが、「プチトヨタ」のCMなどでパッソの方が圧倒的に認知度が高かったのではないだろうか。一方、ブーンはラリーカーのベース車としても使われ、ラリージャパンで元気に走る姿は今でも印象に残っている。今回、ドライブしたのはまだ雪が降る前の秋の北海道だ。

●これが“まっすぐ走らないクルマ”というやつか
170907__0473 走り出しての第一印象は、まず、ブレーキが効かないということだ。もちろん、全然効かないことはないのだが、ブレーキペダルを奥まで踏み込んでやっと効いてくる感じなのだ。心許ない。
 そして、一般道を巡航して感じたのは、直進性の悪さ。常にハンドルを微修正する必要がある。路面の凹凸やうねり、風などの外乱によって、微妙に進行方向がぶれる。自動車評論家はたまに「まっすぐ走らない」という表現を使うことがある。本当にそんなことがあるのかと思っていたが、こういうクルマのことを言うのだろう。もちろん、蛇行するとかいうことはないのだけど、道路に沿って走らせることに神経を使わされるのはたしかだ。長時間運転していると、疲れる。

170907__0502_2●シフトダウンしにくいコラムレバー
 シフトレバーはコラム式だ。右側面にはオーバードライブスイッチが付いている。下り坂などでエンジンブレーキを使いたい時は、このオーバードライブスイッチを押してシフトダウンさせる。それでもエンジンブレーキが足りない時は、シフトレバーを一段下に引くことで2速にシフトダウンさせる。この一段下に引く・戻す操作が、やりにくい。あまりこのレバーを操作することを考えていない、そういう設計なのだろう。

170907__0492●内装はカジュアル
 内装のデザインはカジュアルと表現すべきか。実用的ではあるが、正直言って安っぽい。必要最低限という感じ。最近の軽自動車の方が質感は高いよね。

 ちなみに、今回は340kmほど走行し、燃費は22km/Lを記録。北海道の信号の少ない道路を巡航したということが大きいが、なかなか優秀だ。

 総評。リーズナブルなコンパクトカーなので多くのことは望むべくもないのだけど、走りの性能は想像していたよりもよくなかった。ラリーカーのベースになるようなクルマとはとても思えない。ラリーカーに仕立てるには、全く別の部品に交換して、全く別のクルマのようにしてしまうのだろうけれども。
 こういうクルマは、初心者や運転の得意でない人もよく乗ると思う。そういう人たちに、運転は疲れるもの、まっすぐ走らないので怖い、といった印象をこのパッソは与えかねない。こういうクルマこそ、もっと安心して走れるようにつくられるべきだと、僕は思う。現行モデルがそうなっていることを願う。

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